裏ブログ:京大卒フィレンツェ公認ガイド 加藤まり子

公式ブログと異なり、マリコの赤裸々な話を載せています。

旅っていうのは帰るところがあって初めて旅になる

 

旅が好きって言う人多いと思う。

お休みが取れたら旅行に行く、とか臨時収入があったら旅行に行く、など。

きっと人はそこに非日常やロマンを求めるのだと思う。

だけど、旅がロマンチックなのは帰るところがあるから。

帰るところを持たずただ旅し続けるのは放浪だ。

帰るところなく彷徨い歩き続けるのはもはやロマンではなく虚しさしかない。

日々変わりゆく景色、特定の場所を持たず、その時々の人間関係だけ。

何物にもとらわれない自由さはあるけど、それは常に孤独と隣り合わせだと思う。

帰るところがあるからこそ旅は旅たりえる。

 

これはヴェロッキオ「ラファエロとトビアス

ロンドンナショナルギャラリー至宝の1つだけど、もともとフィレンツェで制作された。

中世〜ルネサンスフィレンツェは商人の街。子供の頃に外国の支店に修行にだされることも多かった。昔の旅は今と違って危ない。子供の無事を祈って天使が守ってくれるように、この画題が人気だった。

大天使ラファエルは特定の人ではなく色んな人に姿形を変えてきっと守ってくれている。

出会う人それぞれに大天使を見出せられれば彷徨うだけの旅も少しは虚しく無くなるのかもしれない。

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